ご挨拶
この度、髙田前会長の後を受けて、一般社団法人日本橋梁建設協会会長を務めさせて頂くことになりました。会長就任にあたりましてご挨拶を申し上げます。
令和5年は新型コロナウイルスの世界的な猛威もようやく収まりつつあり、経済や社会活動の回復が急速に進みつつあります。観光地をはじめ国内各所においても、外国からの訪問者が多くみられるようになり、インバウンドなど景気回復への期待が膨らんできています。そのような時期において、公共事業には景気回復を促進するような役割が求められます。平成の時代、年間を通じて20万トンを超える鋼橋の発注をいただきましたが、令和になってからは年間20万トンに満たない発注量が続いています。私たちのまわりを見渡してみますと、街には交通渋滞箇所がいくつも見られます。国民生活の利便性を維持し向上するには、渋滞解消はもちろん、ミッシングリンクの解消や、道路ネットワークの充実が不可欠だと思います。ご発注者はじめ関係者の皆様には、この点をご理解いただき、予算の確保はもちろんのこと、予算の着実な執行をお願いしたいと思います。鋼橋は工場で高品質な部材を製作し、現地で短期間に安全かつ精度よく橋を組み立てる事ができるという利点があります。この利点を有効活用することで国民生活の利便性向上に貢献してゆきたいと思います。
近年、気候変動の影響による激甚災害の頻発や大地震等の発生リスクが強く指摘され、実際に河川の氾濫にともない応急橋の設置が求められる場合が増えてきています。河川の流水部に設置された橋脚が基部の洗堀により流失したり、堤防より低い位置に施工された橋桁が流水の障害となったりする事例も報告されています。河川をまたぐ橋梁には、地域の交通を担うだけでなく、水道やガスなどの基盤インフラの供給という面においても重要な役割を有しています。より安全安心な国土を実現するには、大規模災害への備えとなる国土交通基盤の強靭化を着実に進めることが喫緊の課題となっています。鋼橋は軽量でありながら強靭であるため、長支間の橋梁や急速な施工に優れた特性を有しています。この優れた特性をぜひ国土強靭化の推進に活用いただくことを提案してゆきたいと思います。
今年は、日本初の都市間高速道路である名神高速道路(栗東IC-尼崎IC)が1963年に開通してから60年となり人で言えば還暦を迎えます。このほかにも高度経済成長時代に急速に整備された多くの道路インフラがあります。これらの構造物では、経年にともなう劣化が増えていくことが予想されます。すでに高速道路などでは、大規模修繕などの延命化事業が盛んに行われるようになりましたが、開通した道路を一部規制して行う工事も多くあるため、安全性や工程の短縮に寄与する技術の開発や、改築人材の育成、工事内容や工事期間に対応した施工体制づくりを受発注者間の協議などを通じて行いたいと思います。
平成26年にいわゆる担い手3法が施行され、週休二日現場の増加や設計労務単価の着実な上昇等の様々な成果が見られましたが、新たな課題に対応した「新・担い手3法改正」により働き方改革の推進、生産性向上、災害時の緊急対応強化など、更なる環境整備に向けて、要請・提案活動を積極的に行ってまいります。また、当協会では、鋼橋の魅力を発信するため、若手中心で構成された戦略広報WGを通じて、企画立案やSNS発信等広報活動を行っております。今後も鋼橋の魅力を効果的に伝えるべく活動を強化してまいります。
以上の協会活動を着実に進めていくには、会員の皆様のご理解とご協力が不可欠でございます。皆様からのご意見を拝聴しながら、会長としての責務を果たして参る所存ですので、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
一般社団法人 日本橋梁建設協会
会長 川畑 篤敬
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橋建協 五つの誓い
私達は、皆さんが身近に親しむ橋の建設を通じて、社会に貢献していきます。
橋がつなぐ、
みんなの未来。
「街と街・人と人をつなぐ橋」
で社会生活・経済活動を支えます
永年にわたって培ってきた優れた技術で、皆さんの生活および
産業の経済活動を支える社会資本の一つである橋を建設し、社会に貢献します。
「丈夫で長持ち・夢のある橋」
をつくります
地域のために役立つ安全で優美な橋を提供します。
また、地域の日常生活を守るため、橋梁のドクターとして橋の健康管理を行い、100年橋梁を目指します。
「橋の文化」
を大切にします
橋に関連した、日本および地域の文化の保護と未来への伝承に努めます。
「世界をむすぶ橋」
を架けます
日本の優秀な建設技術をもって、海外の建設プロジェクトに積極的に参画し、
現地の文化・慣習を尊重し、心の触れ合いを大切にした国際貢献を行います。
「地域の皆さんの安全・安心」
に寄与します
不慮の災害や震災発生時には、地域の皆さんの安全・安心、交通確保のために、
会員各社が力を合わせ、橋の復旧活動や応急橋の建設に取り組みます。
会員は、公正・透明・誠実な企業活動を通じ、
明るい未来と夢の実現に向けて、下記のことを実行します。
1.安全・安心な街づくり
「丈夫で長持ちする橋」を建設し、災害に強い、安全・安心 に生活できる街づくりとともに、橋の長寿命化を図り、
優れた橋梁を次世代に引き継いでいくことに努めます。
2.品質の確保
世界に誇る最先端技術と永年培ってきた技能の伝承・研鑽 をはかるとともに、新技術・保全技術の開発に取り組み、品質の確保に努めます。
3.環境保全活動
未来の地球、地域住民の生活環境と自然環境を守るため、 工場・現場における環境の保全に努めます。
4.人材の育成
優れた橋梁技術を次世代へ継承するため、経験豊富な人 材を大切にするとともに、若い優秀なエンジニアを育成して、魅力ある企業の実現を目指します。
5.地域とのふれあい
より広く社会との絆を築くため、見学会の開催やイベント 参加を通じて、地域の方々と心の交流を深めていきます。