伊藤學賞:長井 正嗣 氏
長岡技術科学大学名誉教授
長井正嗣氏は、大学院修了後、企業、大学において一貫して鋼・合成橋梁の設計、建設および研究に従事し、その発展に大きく貢献されました。具体的には、鋼直線、曲線箱桁橋の断面変形挙動に対して、BEAMアナロジーモデルを提案し、挙動の解明とともにこれまで経験的に行われていた中間ダイアフラム、対傾構の設計法を提案されました。この業績により田中賞(諭文部門)を受賞されました。
設計法は日本道路協会設計便覧ほか、複数の高速道路会社の設計マニュアルに採用されており、今日でも実務設計に利用されています。
また、合理化桁(少数主桁、厚肉少補剛桁)橋の開発に長く携わってこられ、3D-FEAや大規模の実験を数多く行い、合理化桁の信頼性、耐久性保証に大きく貢献されました。現在はスパン30~60m領域で経済的かつ高耐久橋梁として一般化しております。新たな挑戦として、合成桁の正曲げ領域での塑性強度が発揮できる設計法を提案し実装に至っております。この間も数多くの解析、実験を行い、関連論文で土木学会田中賞(論文部門)2回、土木学会論文賞を、橋建協メンバーとともに受賞されました。
学協会活動に関しては、土木学会鋼構造委員会委員長、鋼・合成構造標準示方書委員会小委員長、また日本鋼構造協会国際委員会委員長、表彰委員会委員長を務め、学協会の発展に貢献されています。
受賞歴については、上述の受賞を含めて土木学会諭文賞、田中賞(諭文部門)4回、田中賞(業績部門)、その他として、土木学会デザイン賞を含め4件受賞されておられます。研究業績に関しては、査読付論文(和英文)123編、著書・総説・解説47編、国際会議論文201編の発表を行われておられます。
上述のとおり、長井正嗣氏は長年に渡る多くの業績はわが国の鋼橋技術の発展に多大なる貢献をなされました。