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お知らせ

令和4年度 伊藤學賞・技術功労賞の受賞者決定

わが国の鋼橋技術の進歩・発展に貢献・寄与された方を称える「伊藤學賞および技術功労賞」の受賞者が、以下のとおり決定しました。
表彰式は令和4年10月7日(金)開催の当協会東京地区「橋梁技術発表会(銀座ブロッサム 中央会館 ホール)」にて行ないます。

伊藤學賞:長井 正嗣 氏

長岡技術科学大学名誉教授

長井正嗣氏は、大学院修了後、企業、大学において一貫して鋼・合成橋梁の設計、建設および研究に従事し、その発展に大きく貢献されました。具体的には、鋼直線、曲線箱桁橋の断面変形挙動に対して、BEAMアナロジーモデルを提案し、挙動の解明とともにこれまで経験的に行われていた中間ダイアフラム、対傾構の設計法を提案されました。この業績により田中賞(諭文部門)を受賞されました。
設計法は日本道路協会設計便覧ほか、複数の高速道路会社の設計マニュアルに採用されており、今日でも実務設計に利用されています。
また、合理化桁(少数主桁、厚肉少補剛桁)橋の開発に長く携わってこられ、3D-FEAや大規模の実験を数多く行い、合理化桁の信頼性、耐久性保証に大きく貢献されました。現在はスパン30~60m領域で経済的かつ高耐久橋梁として一般化しております。新たな挑戦として、合成桁の正曲げ領域での塑性強度が発揮できる設計法を提案し実装に至っております。この間も数多くの解析、実験を行い、関連論文で土木学会田中賞(論文部門)2回、土木学会論文賞を、橋建協メンバーとともに受賞されました。
学協会活動に関しては、土木学会鋼構造委員会委員長、鋼・合成構造標準示方書委員会小委員長、また日本鋼構造協会国際委員会委員長、表彰委員会委員長を務め、学協会の発展に貢献されています。
受賞歴については、上述の受賞を含めて土木学会諭文賞、田中賞(諭文部門)4回、田中賞(業績部門)、その他として、土木学会デザイン賞を含め4件受賞されておられます。研究業績に関しては、査読付論文(和英文)123編、著書・総説・解説47編、国際会議論文201編の発表を行われておられます。
上述のとおり、長井正嗣氏は長年に渡る多くの業績はわが国の鋼橋技術の発展に多大なる貢献をなされました。

長井正嗣氏

技術功労賞:永山 弘久 氏

宮地エンジニアリング㈱ 取締役

永山弘久氏は、2002年日本道路公団(当時)が東海北陸自動車道に建設した鋼・コンクリート複合トラス橋(椿原橋)に、設計の主担当者として設計検討段階から完成に至るまで従事されました。同橋は、当時の技術基準が及ばない、鋼トラス上弦材とプレストレストコンクリート床版(以下、PC床版)とを合成し、PC床版に主構としての機能を持たせた複合トラスでした。床版の2方向にプレストレスを導入することにより床版の耐力を高め、上横構や床組構造を省略して、構造の合理化・コスト縮減を図る「合理化トラス橋」の先駆けとなりました。
また、NEXCO中日本(株)が新東名高速道路に建設した須津川橋では、片側3車線の場所打ちPC床版2主鈑桁で計画されていましたが、詳細設計時により経済性を重視した片側2車線を暫定供用する方針となったため、設計監理技術者として、拡幅時の施工性、経済性に優れた「合成床版を横桁で支持する2主鈑桁橋」を提案し、工事を竣工しました。本形式の合成床版はロビンソン型を基本構造とし、将来の幅員拡幅を考慮して主たる床版支間を橋軸方向にとり、さらに、横桁を上段に配置してハンチや下側鉄筋を省略するなど従来の合成床版の構造の合理化を図りました。現在、高速道路の暫定2車線区間で「合理化合成床版」の名称で多数採用されております。
また、2002~2003年、首都高速道路の鋼製橋脚隅角部において数多くの疲労損傷が発見され、工区分けされて補強工事が相次いで発注されました。なかでも交通量の多い日本橋近辺の工区(1-6工区)を設計監理技術者として1年以上現場に常駐し、前例のない補強工法に挑みました。主桁の桁端切欠き部、桁受ブラケット、橋脚隅角部の多数の疲労亀裂、支承の劣化、維持管理スペースの不足などの問題点を同時に解決する方法として、「フルウェブ化」を提案し、パイロット工事として施工されました。
さらに、1995年に発生した阪神・淡路大震災で被災した阪神高速道路3号神戸線の復旧工事では、総延長1801m、全52スパンの工区(23工区)の調査・設計を現場に常駐して指揮し、多種多様な工種に対応しながら、厳しい工期内に工事を完了されました。
上述のとおり、永山弘久氏は橋梁設計及び保全工事の技術者として、鋼橋の発展に多大なる貢献をなされました。

永山弘久氏

【問合せ先】

一般社団法人日本橋梁建設協会 事務局

TEL.03-3507-5225 FAX.03-3507-5235