時代と人々の移ろいを見寄ってきた鉄橋
金沢市の繁華街片町に近い犀川に架かる犀川大橋は厳つい北国武将のような印象をしています。
架橋されたのは1924(大正13)年のことで、現在の犀川大橋は、その3年前に架け替えられたばかりのコンクリート橋が洪水で流失した後登場しました。広い幅員の近代的道路橋が全国に建設される時代でした。
設計したのは関場茂樹さん。日本で初めての「標準橋梁仕様書」に参画し、統一規格のなかった鋼材仕様について、その指針を明示するなど日本橋梁技術の黎明期をリードした功労者でもあります。
曲弦ワーレントラス橋の犀川大橋は4車線の広さがあり、川幅60mの犀川をがっしりと跨いで、市中心部から福井方面へ向かう国道157号(旧北国街道)の要所を守り続けて84年になります。
10月から年内いっぱい、橋は塗装と補修のリフレッシュ工事をしています。町の景観を大切にするのが金沢、学識経験者の意見、市民アンケートにより橋の色彩が決められました。新しい色は「水の青と森の緑」に調和した青緑色のグラデーション。橋鏡板には金沢金箔が使われるという豪華なお色直しです。市民の声を聞いて犀川大橋の色彩を決めるのはこれが3回目です。
犀川の最初の橋は1549(文禄3)年、加賀藩祖前田利家によって造られたとされています。犀川大橋は国の登録有形文化財に指定されて、なお現役であり続けています。
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