架けられた10橋で繰り広げられる生活
筑後川の上流の熊本県と大分県の県境に位置する松原ダム・下茎ダム周辺には鋼製の大きな橋が10橋架かっています。
これらの橋はダムの建設とともに昭和40(1965)年〜昭和45(1970)年に架けられた橋で、これらのダムは昭和28(1953)年6月の筑後川大水害を契機として、
建設省の治水100年計画のもとにダムが計画され建設されたものです。
このダムの建設をめぐっては、徹底的な反対運動が起こり、ダム建設地には反対派が築いた「蜂の巣域」をめぐる激しい攻防は全国的に知られることになりました。
しかし、昭和39(1964)年6月、国の命令によりダム工事は着工が開始され、松原ダムは昭和41(1966)年3月に建設着工、下茎ダムは昭和43(1968)年に定礎式が行われ、
両ダムとも昭和47(1972)年に完成しました。これらのダムの建設と平行してダム周辺の道路も整備され、架けられたのが川辺橋をはじめとした鋼製の橋だったのです。
ダム建設反対の中心者であった室原知幸(むろはらともゆき)氏も完成した橋については「建設省が地元に残した最大の遺産だ」と、素直に喜んだという後日談が残されています。
こうして、反対運動の舞台となった川辺橋周辺では、今では災害から守られた暮らしが続いているのです。
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