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各種高耐久性床版の特徴
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各種床版の特徴
 最近、特にその優れた施工性や経済性から少数主桁橋、開断面箱桁橋、細幅箱桁橋や合理化トラス橋等のいわゆる新しい鋼橋の採用事例が増加しております。これに伴い道路橋として最もクリティカルな部材となる床版についても、従来から一般的な床版形式であった鉄筋コンクリート床版に替わり疲労耐久性に勝りライフサイクルコストの低減が可能となる床版形式へと進展してきました。その中において、採用事例が多く信頼性も高いとされる各種高耐久性床版の特徴は以下に示すとおりです。
 なお、解説@〜Iは「各種条件における床版形式の比較表」の比較項目に対応しています。

 =鋼・コンクリート合成床版=
1 複雑な道路線形にも対応可能です。
2 斜角については、一般的に幅員10m程度において60°程度まで対応可能です。
3 鋼板パネルは軽量でありハンドリングは容易ですが、現地の搬入条件によってはパネルの分割方法に制約を受ける場合もあります。
4 現場での支保工の組立および解体作業が無いので、施工の安全性が確保できるとともに工期の短縮が図れます。
5 上記Cに同じ。なお、鋼板パネルに形状保持機能を付加することにより構造の架設系における安全性を向上させることが可能です。
6 雨天において鋼板パネルの設置、鉄筋の組立てはできます。但し、鋼板パネルに雨水が溜まる場合もあるので、排水に対する措置が必要です。
7 連続桁の場合、既に打込んだコンクリートブロックにより負の曲げモーメントが作用することもあるため、その影響ができるだけ小さくなるようなブロック割および施工順序を選ぶことが必要です。
8 跨線橋や跨道橋のように、鋼桁の架設期間や足場工の設置、さらに桁下の利用に制約を受ける場合においても、鋼桁に鋼板パネルを取り付けての送出し工法や一括架設工法の採用ができ、合理的な施工が可能になるという合成床版のメリットを最大限に発揮できます。
9 プレキャストPC床版とほぼ同程度に工期の短縮を図ることができます。
10 供用後に機能上の不具合が発生した場合においても鋼板パネルの取替えは可能であり、交通規制を行い供用しながらの施工によっても機能回復を図ることができます。

 なお上記以外に、鋼・コンクリート合成床版は下面が底鋼板に覆われているためコンクリート片の剥離落下の心配がないこと、また、施工を段階的に分割する場合(例えば、一期施工を行なってから二期施工を行う場合や将来拡幅する場合)への対応が容易である等のメリットがあります。

 =場所打ちPC床版=
1 平面線形が複雑な場合や施工延長が短い場合は、固定型枠工法を選定することにより施工性や経済性を確保することができます。
2 斜角については、一般的に幅員10m程度において75°程度まで対応可能です。
3 使用する機材は小機材やそれらの組立てにより構成され、また大型の重機も必要がないため山間部等の輸送上の制約を受ける場所でも施工が可能です。
4 現場での支保工の組立および解体作業があるとともに、PC鋼材の緊張工という特殊作業が必要になります。
5 移動型枠工法の場合、支保工および型枠の組立て作業が機械化されており安全に施工することができますが、移動型枠の移動に伴う作業が別途発生します。固定型枠工法の場合、支保工の組立ておよび解体作業が長期にわたり発生します。
6 移動型枠工法の場合、全天候型の施工が可能となります。固定型枠工法の場合、雨天において型枠・支保工および鉄筋の組立てはできます。
7 移動型枠工法の場合、移動型枠の自重を考慮のうえ床版に発生する応力を低減するための措置を講ずることが必要です。固定型枠工法については、鋼・コンクリート合成床版に同じ。
8 跨線橋や跨道橋のように、鋼桁の架設期間や足場工の設置、さらに桁下の利用に制約を受ける場合には適用が困難です。
9 場所打ちPC床版は、鋼・コンクリート合成床版やプレキャストPC床版より工期が長くなります。なお、型枠の工法による種別では、一般に固定型枠より移動型枠の方が工期は長くなります。
10 供用後に機能上の不具合が発生した場合、部分的に床版を取り替えるのは一般に困難です。また、コンクリートの部分的な打ち替えについてもPC鋼材の緊張に係わる安全上の配慮が必要となります。

なお、場所打ちPC床版は汎用的であり、その施工にあたっては制約を受けることが少なく適用範囲が比較的広いというメリットがあります。

 =プレキャストPC床版=
1 複雑な道路線形への対応は困難を伴うとともに、経済性に劣ります。
2 斜角については、一般的に幅員10m程度において75°程度まで対応可能です。
3 プレキャスト部材は重くその横持ちには大型の重機が必要となるため、山間部等の輸送上の制約を受ける場所では施工が困難となる場合があります。
4 現場での支保工の組立および解体作業が無いので、施工の安全性が確保できるとともに工期の短縮が図れます。
5 現場作業が省力化され、安全性も高くなります。
6 雨天においてプレキャスト部材の設置、継ぎ目の鉄筋の組立てはできます。但し、主桁上フランジ上面に雨水が溜まる場合もあるので、排水に対する措置が必要です。
7 連続桁の場合においても、死荷重による負の曲げモーメントが作用しません。
8 跨線橋や跨道橋のように、鋼桁の架設期間や足場工の設置、さらに桁下の利用に制約を受ける場合には現地の条件によっては適用が困難となります。
9 鋼・コンクリート合成床版とほぼ同程度に工期の短縮を図ることができます。
10 供用後に機能上の不具合が発生した場合においてもプレキャスト部材のパネルの取替えは可能です。

なお上記以外に、プレキャストPC床版は工場製品であるため安定した品質が得られる、また場所打ちPC床版と比較して施工後の乾燥収縮や鋼桁に起因する拘束力が減少する、というメリットがあります。
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耐久性
 床版の設計においては、活荷重等に対して有害な変形が生じないようにするとともに、自動車の繰り返し通行に対して疲労耐久性が損なわれないようにする必要があります。また、必要とされる疲労耐久性を確保するにあたっては、設計の前提となる密実なコンクリートの打込みを可能とする施工上の条件を満足する必要があります。しかし、コンクリート系床版の場合、その破壊メカニズムは複雑であり設計計算による疲労耐久性の照査は困難であることから、現実的な疲労耐久性の確認手法として国土交通省で提案されている階段状荷重漸増載荷による輪荷重走行試験により疲労耐久性を評価するのが一般的となっています。

 右図は、平成8年度版の道路橋示方書に基づいて設計された鉄筋コンクリート床版(RC8)、プレストレス量50%のPC床版(PRC50)と鋼・コンクリート合成床版の同試験の結果を示したものです。RC8は一般に100年の耐久性が期待されておりますが、この試験結果からすれば鋼・コンクリート合成床版はRC8よりはるかに高い耐久性を示しています。

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工  期
 各種床版の施工性を評価するにあたり、同じ施工条件において必要とされる工期を算出のうえ比較してみました。以下は、その想定した条件と各種床版の工期の検討結果を示します。

 <条件>
  橋梁形式:3径間連続非合成鋼2主鈑桁橋
  橋  長:180m
  支 間 長:60m+60m+60m
  幅  員:11m(主桁間隔6m)

<工期>・・・地覆・壁高欄の施工を除くグロス工程を示す

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